
神様の願い事
第7章 謎のオバケ
目を見開いたまま固まった翔さんは、静かにドアを閉めた。
瞳孔も口も開いてるのに、ドアだけパタンと閉めたんだ。
智「あれ? 今誰か」
潤「見てくるわ」
その奥で微かに聞こえる声。
ガチャッ
潤「あ、翔さん」
翔さんは一瞬、瞬きをした。やっと意識が戻ったか。
和「で? どうだった?」
雅「最後の方見てなかったんだよ。ちょっとバタバタしちゃって」
潤くんは動揺する翔さんを見て、相葉さんの言葉に納得したようだ。
潤「あ~、どうもこうも無いね」
雅「へ?」
潤「全っ然ダメだよあれ」
和「そうなの?」
潤「全く乗ってこない」
雅「だって! 良かったね翔ちゃんっ」
急に背中をバンバン叩かれて、翔さんは少し揺れた。
和「練習させてくれなかったんだ?」
潤「“そんなんしなくてもイケるよ”ってさ。“お前いつもカッコいいんだから、自信持て”って」
和「あ~、言いそう(笑)」
雅「あれ?でも、松潤も唇テカってるよ?」
潤「あ~コレは、“ケアだけしとけば問題無い”つって、リップをグリグリと」
和「潤くんもヤラれたんだ」
潤「そう」
雅「だって! 良かったね、翔ちゃんっ!」
もう一度相葉さんに背中を叩かれると、ぱちくりと瞬きをして。
翔「な、なに? どういう事?」
漸く置物状態から解放された。
翔「良かったって、なんなの?」
和「ちょっとね、チャレンジをしてたんスよ」
翔「チャレンジ?」
眉をこれでもかと言う程に潜め、翔さんは俺に問う。
雅「ほら、翔ちゃん言ってたじゃん。“あの人は誰とでもキス出来るんじゃないか”って」
潤「え、翔さんそんな事言ってたの?」
和「うわ、ひど」
翔「いや違うっ、決してそんなニュアンスじゃ」
あたふたとする翔さんがそんな事を言う筈も無く、相葉さんの説明不足だって事はわかってるんだ。
雅「だからさ、良かったねって。リーダー、誰の誘いにも乗らなかったよ?」
翔「え」
雅「あ、俺まだやってなかった」
和「や、もういいから」
楽屋に入ろうとする相葉さんを引き止め、横目で翔さんをチラ見する。
その翔さんはポカンとして。
呆気にとられたとでも言うんだろうか、安堵したような、脱力したような、そんな顔をしていた。
