
神様の願い事
第4章 誤解
《sideS》
夢じゃなかった。
確かに触れるこの感触にこの温度。
毎日鏡に智くんを映して思ってたんだ。
ああ、この人に触れたいと。
翔「もう1回触りたいと思ってたんだよな」
「へ?」
翔「この耳、さ」
そっと手を伸ばして耳に触れる。
ふわふわとして温かい耳。
それはやはりこの間触った猫耳で。
翔「ね、変身したの初めて?」
「え? うん。ってか、ちょ」
翔「前にさ、智くんに変身してない?」
「し、してない」
やっぱりこの間のは俺の見た夢なのか。
確かに前は触っても寝ていたし、こんな生身の反応は無かった。
「だからソコ、触んないで...」
翔「どうして?」
「く、擽ったい...」
撫でる度に目をパチパチして擽ったさに耐える。
身を捩って逃れようとして、見ているだけでその愛くるしさに癒される。
翔「ふふっ」
「も、ほんとダメ」
翔「あ」
ガバッと俺を跳ね除け立ち上がった。
すると、神様の変身とはいえ、裸体の智くんが俺の前に立ちはだかる。
「あ、ちょ」
その姿が恥ずかしかったのか、俺の背に掛かっていた毛布を奪い取って身体に巻き付けた。
翔「え、恥ずかしいの?」
「...あたりまえでしょ」
翔「いつも裸なのに?」
「はっ?」
猫は裸だ。
オシャレなペット服なんて着てなかったし、いつも素っ裸。
なのに人間の姿になった途端に恥ずかしがるとは。
「は、裸の男が目の前にいたら、翔くんだって困るかと思って」
翔「ふふ、なりきってるね」
「え?」
翔「“翔くん”って。本当に智くんみたいだ」
その甘い声で俺の名を呼ぶんだ。
いつもいつも、“翔くん”って、ニコッと笑って。
「そ、それは」
そうだ、この困ったような顔も好きなんだ。
焦った顔も、ポカンとした顔も。
「折角だし、なりきった方がいいじゃん」
翔「まぁね(笑)」
そうやって唇を尖らせるところも。
翔「本当、そっくりだよ…」
猫の名残を残した耳と尻尾は置いといて、神様の変身は完璧だった。
翔「ホクロの位置まで同じなんだね…」
どれもこれも、俺の好きなあの人だ。
夢じゃなかった。
確かに触れるこの感触にこの温度。
毎日鏡に智くんを映して思ってたんだ。
ああ、この人に触れたいと。
翔「もう1回触りたいと思ってたんだよな」
「へ?」
翔「この耳、さ」
そっと手を伸ばして耳に触れる。
ふわふわとして温かい耳。
それはやはりこの間触った猫耳で。
翔「ね、変身したの初めて?」
「え? うん。ってか、ちょ」
翔「前にさ、智くんに変身してない?」
「し、してない」
やっぱりこの間のは俺の見た夢なのか。
確かに前は触っても寝ていたし、こんな生身の反応は無かった。
「だからソコ、触んないで...」
翔「どうして?」
「く、擽ったい...」
撫でる度に目をパチパチして擽ったさに耐える。
身を捩って逃れようとして、見ているだけでその愛くるしさに癒される。
翔「ふふっ」
「も、ほんとダメ」
翔「あ」
ガバッと俺を跳ね除け立ち上がった。
すると、神様の変身とはいえ、裸体の智くんが俺の前に立ちはだかる。
「あ、ちょ」
その姿が恥ずかしかったのか、俺の背に掛かっていた毛布を奪い取って身体に巻き付けた。
翔「え、恥ずかしいの?」
「...あたりまえでしょ」
翔「いつも裸なのに?」
「はっ?」
猫は裸だ。
オシャレなペット服なんて着てなかったし、いつも素っ裸。
なのに人間の姿になった途端に恥ずかしがるとは。
「は、裸の男が目の前にいたら、翔くんだって困るかと思って」
翔「ふふ、なりきってるね」
「え?」
翔「“翔くん”って。本当に智くんみたいだ」
その甘い声で俺の名を呼ぶんだ。
いつもいつも、“翔くん”って、ニコッと笑って。
「そ、それは」
そうだ、この困ったような顔も好きなんだ。
焦った顔も、ポカンとした顔も。
「折角だし、なりきった方がいいじゃん」
翔「まぁね(笑)」
そうやって唇を尖らせるところも。
翔「本当、そっくりだよ…」
猫の名残を残した耳と尻尾は置いといて、神様の変身は完璧だった。
翔「ホクロの位置まで同じなんだね…」
どれもこれも、俺の好きなあの人だ。
