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神様の願い事

第3章 変化



脱力して目を閉じてしまった智くん同様、俺もぎゅっと目を閉じた。

只の妄想だと分かってはいても、見るに耐えなかったんだ。

だけど気になるものは仕方なく。


ちらっ


翔「あ、れ...」


智くんの蕩けるような表情が、あどけない顔に変わっている。


翔「え、何があった...?」


しっかりと布団を被せられているし、その背をぽんぽんと叩かれている。


翔「あ...、耳か」


むにゃむにゃとまるで夢見心地のような智くんは、頭にぴょこっと生えた耳を撫でられて、その耳をピクピクと動かす。

すると、2人は立ち上がりニコニコと笑顔を残して部屋から消えたんだ。


翔「なんだ、寝てるのか」


そっか、そりゃそうだよな。
いくら妄想とは言え、危うく智くんが襲われるところだった。


翔「つか、なんであの2人が出て来たんだろ...」


俺は智くんを見ようと思って鏡を覗いたんだ。
コロンとベッドに転がる可愛い姿を見て、俺も眠りに着こうと思っただけだ。

何もエロい智くんを覗き見ようと思った訳じゃないんだ。


翔「知らないうちに妬いてたのかな」


年下だし、甘えるのが上手なんだ。

智くんだってあの2人には適わなくて、何をされたって怒る事なんて無いし。

結局は呆れ顔でクスッと笑って、2人を許してしまうんだ。



それが俺は、羨ましかった。



俺だってたまには甘えたいよ。

我が儘を言って困らせてやりたい。

それでも智くんは、柔らかい笑みを向けて受け止めてくれるから。

それを俺も味わってみたいんだ。


翔「...やっぱ妬いてるな(笑)」


でも出来ないんだ。

何故かお兄さんを演じてしまう。



だけどたまにはその殻を脱いで、子供のように甘えてみたいな、なんて思うんだ。






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