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君と僕。

第9章 君と僕と罰ゲーム

15分ほど歩くと、やっと和食屋さんが見える。
駅前にある割には結構大きくて、飲み会なんかでも利用されているらしい。

時雨さんの会社でもここを貸し切ることが多いらしく、美味しいからと何度か連れてきてもらっていた。

「こんばんは」

店に入ると慣れた様子で時雨さんが声をかける。

「おぉ、小林さんじゃないか」

「え、小林さん?ご予約入ってましたっけ?」

和装の店員さんや、店主さんが時雨さんを見て慌て出す。
常連で顔も覚えられてるのか。

「今日はプライベートですよ、個室お願いできますか?」

「あはは、そうだったか!良いですよ、今日はデカい予約もないから、奥自由に使ってやって」

店主さんは気前が良くて、板前さんの服が良く似合うオジサンだ。

「行こっか」

「はい」

奥まで歩き、襖で仕切られている部屋に入る。
掘りごたつ式の和室は、お偉いさんが密会してそうな雰囲気だった。
醤油や出汁の香りの中にも畳の香りが漂う。

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