今日も明日も
第65章 見えない鎖 part Ⅵ
5分もしないで先輩が戻ってきた
勿論腕の中には小さな仔ネコ
「こいつ。可愛いだろ?」
「わ、本当可愛い!ほらかずくん」
先輩から受け取った仔ネコをかずくんに渡すと
かずくんは大事そうにそのネコを抱いて、ひたすら見つめている
「あ、ちなみにこいつオスね。んじゃ車出すよ」
“後はゆっくり家で可愛がれ“
蕩けたようにネコを見つめるかずくんに、先輩が小さく笑って
「彼も、寂しくなくなるかな」
まるで状況を知っているかのように
…俺にだけ聞こえるように、先輩がそっと囁いた
「あ、なぁ相葉。今さらだけどお前のアパート、ネコ平気だよな?」
言われて気が付いた
ダメだったらどうしよう
「すぐ知らべます!」
「お前なぁ…そこ肝心だから。万一ダメだったら言えよ?考えるから」
「すいません…」
かずくんの事しか考えてなかった
これでペット禁止だったら目も当てられないじゃないか
「まあ、抜けてるのが相葉らしいけどな」
「あんまり嬉しくないです、それ」
俺と先輩が話してる間も、かずくんの視線はひたすら仔ネコに注がれている
これで “やっぱり飼えない“ なんて言える訳ない
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