今日も明日も
第60章 見えない鎖 part Ⅲ
*******
はっ、として目が覚めて最初に目に入ったのは
柔らかい色をした電気だった
そして固い地面でもなく、草の上でもなく
ふかふかの、ベッドに眠っている
隣にぬくもりを感じて視線を向ければ
「まーくん…」
すやすやと眠る、まーくんの姿
ああ、夢か
俺があそこに捨てられた時の、最後の記憶
嫌な汗が背中を伝う
思い出したくないのに、夢はそれを許してくれない
まーくんに助けられてから、もう1ヶ月近く経つ
まーくんは俺を助けてから暫くは一緒にいてくれたけど
「お金がなきゃ生活出来ないからね」
と、休んでいた仕事に戻った
だけど俺は、多少は回復したものの
ご飯はまだまともに食べられないし、体力がない
そして、働ける能力が……ない
アルバイトをした事はあるけど、どこに行っても “使えない“ とクビになって
“役立たず“ と罵られてきた
そんな俺なのに、嫌な顔ひとつしないまーくんが不思議で仕方ない
俺なんか、何の役にも立たないのに
ストレス発散の道具にしかなれないのに、それもしないとか
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える