今日も明日も
第71章 アナタは誰のもの?
……何だろう
実家で、一体何があったと言うんだ
俺を抱き締める力は、痛いくらいに強くて
簡単には剥がせそうにない
だけどせっかく玄関の中に入ったのにいつまでもこんなとこにいるのはどうかと思う
「とにかく…中入ろうよ」
宥めるように背中を叩いて、促すと
思いの外素直に靴を脱いで、手を繋いだままでリビングまで移動した
とりあえずソファーに座らせて、冷たい麦茶を冷蔵庫から取り出して相葉さんに渡す
「ありがと…」
グラスを受け取った相葉さんが力なく笑って、それを一気に飲み干した
ひとつ、溜め息を吐いたところで
「…どうした?何かあった?」
俺も隣に座って、その顔を覗き込んだ
「言えなかった…」
ぽつり、と呟く言葉はやけに悲しげで
だけど俺からはそれに対して何も言えなくて
相葉さんからの言葉を待つ事しか出来なかった
「今日さ、親から “お前は結婚考えてないのか“ って言われて…」
「うん」
「にのの事、言えなかった」
そう言って、相葉さんは俯いてしまった
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