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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 ラリ夫はプログラム表を会長から奪いとり、テーブルに叩き付けた。


「若手若手って、あんたがとってるの、あんた好みの若い男ばかりじゃねえか。中には女性の演者も出さねえと、客もホモばかりじゃねえんだからよ。それに……」


 そばにいた、霧寿斗(きりすと)を指差して「こいつ、メタルベンディングとかプレコグニションといったメンタルマジックや、心霊術とか上手いんだよ。だから、ホラーの演出させて、俺と組んでやったんだよ。それと、ディーラーM(僕です)も……」


 僕を前に押し出した。


「こいつ、気付いてないけど、コメディの間合いが上手いから。だから、コメディに持っていった。こいつ知らないうちに笑いの間とか、ツッコミかけてきたりしてんだ。俺は、みんなのいいところを引き出したいんだよ!!」


 そこで、僕はハッとした。


 いつぞや、街頭マジックでパフォーマンスした時のラリ夫の言葉。


 僕と組もうと言って、なぜ、僕を選ぶのかと聞いた時。


「俺がそれを言うより、自分で気が付いてほしいんだよ。俺より優れてる面をもってるから、組んでほしいんだ」


 そう言った。


 つまり、笑いだったんだ。



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