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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 だが、そこに鍵が無いんだよ。


 待て……なんのつもりだ?


 この時は、そんなツッコミはなく、ただただ焦った。


 完全に、ラリ夫のイジメにあってると思った。


 いや、それよりも、鍵が無かったら、足の鎖がはずせない。


 手錠は簡単にはずれるんだよ。


 苦しくなったら、頭を上にすれば息は出来る。けど、このままじゃ出られない。


 とりあえず、すべての四隅を調べた。


 鍵が、あった。最初から前後逆にしてやがった。


 あわてて鍵を取って足の鎖をはずず。


 その時、パーンと音がして、幕がはずされたんだ。


「えーーっ!!」


 体を曲げて、鎖をはずしてる姿が、間違いなく見えてる。


 再び幕が閉じられ、ようやく鎖が外れた。


 そして、脱出。


 走った。おもいっきり走った。


 裏に回って用意された台から出てくると、パッとスポットライトがあてられ、僕は両手を上げて「はいっ!!」ではなく、しゃがんで顔上げて「ゼエゼエ」。


 なにしてんだ、あいつ!!


 お客さんからは大拍手。


 話が違う。なに、時間ギリギリまで遊んでんだ。



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