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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 で、いよいよ、その時。


 何度も段取りを確認。こんなことなら、手を上げなきゃよかったと、後悔。


 だが、やる。だって、プロなんだから。出来なきゃ、プロマジシャンとは言えないんですよ。


 気合い入れて向かった。ピッチピチのウェットスーツに身を包み、大音量のBGMにのり、色鮮やかなライトに照らされて、トリのイリュージョンの舞台に出る。


「はぁーっ!?」 


 先に水槽の準備をして、僕を招き入れる相手が、ラリ夫だったんだよ。


 えっ!! 話が違う。


 今日、ラリ夫はここには出ないことになってるはず。


「なんでいるの?」と舞台上で言った。


 客席には聞こえてない。だから、ラリ夫も普通の声で「世代交代」と言った。


 選手交代じゃないのか?


 まあ、どうでもいい。


 とりあえず、イリュージョンだけは成功させたい。


 手錠をはめられ、足にも鎖。


 そこでまったく、打ち合わせと違うことが起きた。


 マワシをした力士が数人、入ってきた。


「ええっ!?」


 なんだこれは?


 ラリ夫はむっちゃ、平然としている。


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