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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 企画は1ヶ月前に決まってね。


 水槽脱出をやろうってきまったんだ。


 でも、イリュージョンが出来る人間が、事務所に一人もいなかったんですよ。


 その前にはいたんですけど、辞めたんですよ。


 で、アミダくじで決めて、別のやつになってたのが、水恐怖症で、プールとか海には入れないとかで、辞退したんですよ。


 そこで、チャンスとばかり、今まで大舞台でしくじってばかりだったから、自分がやると、立候補したんですよ。


 で、水槽が出来上がったんですが、いろいろ発注したものがなかなか揃わず。


 打ち合わせだけして、本番に挑むかたちになった。


 大阪の劇場で、マジックショーです。


 僕個人の出番はなく、最後のイリュージョンが唯一の出番。


 しかも大トリ。





 それは聞いてなかった。


 これ、失敗したらすべてがパー。そんな大事な出し物だったら、先に言ってくれ。


 映画デイ・アフター・トゥモローの津波のようなプレッシャーが、押し寄せてきたよ。



 仕掛けも構造も、段取りも鼻くそほど簡単なものだったから、打ち合わせでいけると思っていたが……いや、みんながそう思っていたから。



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