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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 予選を通ったラリ夫が言うには、真面目な所に放り込むような笑いがいいという。


 いや、笑わせたつもりはない。


 結果、笑いにつながったが、こっちは、笑えるどころじゃないから。


 故意ではないが、生き物の命奪って笑いに繋がったって、嬉しくもなんともないし。


 あれから、鳩を使う時用に、ちょっとサイズにゆとりのある衣装を用意しましたが、鳩出しが怖くて使わず仕舞い。


 やがて飼ってる鳩が野良猫に襲われて1羽しか残らず、その1羽も、手品に使わずペットとして飼ってたら、鳥かご掃除中に飛んで逃げちゃって。


 もう、鳩マジックはトラウマです。


 ラリ夫に、あれはステージ中に死んだと言ったら、やつは作り物を使ったと思ってたらしい。


 羽を広げて落ちてたら、死んだと思われたのが、きれいに羽を閉じた状態で落ちた。


「お前は失態だと思っているが、あれがもし羽を広げた状態で落ちてたら、逆に非難浴びてたかもしれない。固まって落ちてくれたから、客はみんな笑ってくれたんだ。亡くなったことは申し訳ないと反省しないといけないが、それでも鳩は舞台を成功させてくれたんだ。その鳩も立派なマジシャンだから、ありがとうって気持ちも、持っていいと思う」


 この言葉にちょっと救われた。



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