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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 狭い所に押し込まれて、ギューッとされたら、そりゃ鳩も苦しいよ。


 なんか、情けなさ恥ずかしさ、鳩に対しての悲しさと申し訳ない気持ちが一緒になって、早く帰りたかった。


 鳩の死体は、なにもないから、とりあえず紙に包んで、カバンの柔らかい所に寝かせた。


 終わったらすぐに埋めてあげよう。


 もう、予選なんてどうでもよかった。


 今も思い出すと「あぁ〜っ」てなる。


 今までで最高の大舞台だよ。


 しかも、大会のテレビ放送には、予選の模様が流れて、5秒ほど映ったんだ。


 死んだ鳩を持って笑ってる自分。


 みんな、これが死んだ鳩だと思ってないんだろうなぁ。


 そう、結局、僕は予選落ちだ。


 もう、鳩のことと、なんか、歯痒いというか、なんというか、そんなことばかり頭がいっぱいで、予選のことの思い出なんにもない。


 さっさと帰って、死んだ鳩を小箱に入れて、翌日、山手の方の、あまり人が来ない場所に埋めた。


 だから僕にとっては、最悪のショーだった。


 だが、周りの見方は違った。



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