
嵐の俺と、パパの俺。
第1章 別世界へようこそ。
「あのさ、翔くん、朝からなんなの?」
それはこっちのセリフでもあるんですが。
目の前には怒った顔した智くん。
部屋を出たあと、トイレに連れ込まれた。
「あ、あのさ」
きちんと言うべきだろうか?
俺は、違う世界から来たっぽいって。
でもそんなこと誰が信じる?
「記憶がないんだ、昔の」
「じゃあ、オレと結婚したことも?」
「お、覚えてない」
その言葉にショックを受けたのだろう、泣きそうな顔した智くんがいて、思わず抱きしめた。
「ごめん、でも、ほんとうに」
「いいよ、でも、離婚はいやだな、オレ翔くん好きだし。」
真っ直ぐな気持ちを伝えられ、
俺は顔が真っ赤になった。
智くんが、
あの智くんが、
俺を好き??
思い出すのはデビュー当時。
あの頃から片想いで、10年間片想いして諦めた。でもあの頃の気持ちがまたぶり返してきそうだ。
「も、もちろん。俺も智くんのこと」
好きだよ
彼にこの言葉を伝えられる日が来るなんて。
もしかしてこっちの世界にいたほうが幸せになれるんじゃないか?
俺はこの世界の現実を受け止めつつあった。
