
嵐の俺と、パパの俺。
第1章 別世界へようこそ。
某テレビ局のスタジオ。
無事に撮影が終わり、
挨拶を終えたあと5人でゾロゾロと楽屋へ向かう。
「智くん、途中寝てたでしょ?」
隣を歩く智くんに顔を向けると、
今だにぼんやりと眠そうな表情をしている。
「あ、バレた?」
「もーテレビに映ってる時くらいおきてなさいよ!」
前を歩いてたニノが振り返って呆れた顔をした。
でもなんだかんだみんな智くんには甘い。
彼が眠そうにしていても、たとえ寝ていても怒ったりはしない。
まあ、進行に支障があるときは遠慮なくツッコむけども。
楽屋につくと、今朝頼んでおいた焼肉弁当とサラダが5人分用意されていた。
「おっ!焼肉弁当じゃん!もしかして翔ちゃんが?」
誰よりも早く焼肉弁当を手に取った相葉ちゃん。
「うん、今日は収録後ちょうどお昼だったから頼んどいた」
たまに5人での仕事後にご飯となると、こうやって弁当を頼んでおく。もちろん、栄養バランスや量も考慮した上のセレクトだ。
「焼肉弁当だけじゃなくて、サラダもつけるとこが翔さんらしいですね」
「野菜もしっかり食えよー」
相葉ちゃんはすでに口いっぱいに焼肉弁当を頬張っている。
それを見てニノが下品だと言って相葉ちゃんの頭を叩いた。
松潤はお手洗いに行ってくると言って、楽屋を出て行った。
智くんはというと、
「はい、これ翔くんの分」
ソファに座っていた俺に弁当をもってきてくれた。
「ありがとう」
「それ俺のセリフ、いつも用意してくれてありがとう」
ふたりで手を合わせ、いただきますをする。
焼肉弁当はちょっと高めのやつをかった。そのかいあってか、格別うまい。
隣に座った智くんも、うめぇーを連呼しながら頬張っている。
口いっぱいに詰め込んでいるもんだから、なんだかハムスターにみえてきた。
かわいい。
ん?
かわ、いい?
「いやこれは小動物みたいでかわいい。という意味だうん」
おもわず声に出してしまったが、隣の智くんはひたすら頬張っているだけで、こちらの独り言には全く気付いていないようだった。
