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嵐の俺と、パパの俺。

第2章 なにがどうなって



ニノと相葉ちゃんの結婚式は無事に終わり、ふたりは大勢の仲間から祝福され、終始幸せそうだった。


そのあと行われた披露宴でも、それぞれが自由な出し物を披露し、おれもなぜかピアノをひくはめになった。


突然だし練習もしてなかったので、グダグダな演奏になってしまったが、ふたりの笑顔と、鳴り止まない拍手が嬉しかった。



智くんもふたりの似顔絵をその場で描き、二人に渡した。その似顔絵はあまりに上手くて、この世界の智くんも絵がうまいのかと感心してしまった。



披露宴は夜遅くまでつづいたが、忠が眠そうだからと、智くんと俺は早めに抜けて帰ってきた。





「忠はもうすぐ5歳になる。俺らの子供だけど、男が産める訳がないから、養子として迎えたんだよ」


忠を寝かせた智くんがリビングに戻ってきてそう言った。


「え?」


「どうせ記憶にないんでしょ、忠のことも」


「ごめん」



智くんは責めることをせず、ため息を漏らしただけだった。


「で、どこまで記憶にないわけ?」


どこまでって聞かれても、
全部の記憶がまっさらだ。


正しく言えば、
この世界での俺の記憶は全くない。


「正直に言うと、昨日までの記憶は全部ない。でも、少しでも思い出せるように頑張るよ」


少しでもこの世界の俺に対応して。

そしたら幸せになれるのかな?



「わかった。もしかしたら一時的なものかもしれないしね。俺も翔くんのことちゃんと支えるから」


一緒に頑張ろう、と微笑んだ彼はあまりにも眩しくて。


この世界で、智くんと支えあいながら生きていくのも案外悪くないのかもしれないと思った。



「じゃあもう風呂入って寝よう!」


「そうだね、智くん先入っていいよ」


それまでテレビでもみて待ってようかな。この世界のテレビってどんな番組やってんだろ。


「え?何言ってんの翔くん、一緒に入るんでしょ?」



はい?

いま、

一緒に入るって言いました??



「えええええええ!?智くんと一緒にお風呂!??!」

想像しただけでも鼻血が。

いやまて、さすがにそれはマズイ、一緒に風呂はマズイ。


「一緒に入りたいっていつもうるさいのは翔くんのほうじゃん」


この世界の俺、ハンパねぇ。



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