テキストサイズ

[現代版] 天使と悪魔

第15章 未来への光り

・藤ヶ谷side

それから、取り合えず。

それぞれの家へ帰ることにした俺達は帰り際。



安井「頑張ってねパパ」

藤「なにを?」

岸「もぉー決まってるじゃん」

藤「んっ?」

安井「ママンが記憶を取り戻せるように」



2人にそう言われ。

そうだよな、こいつらだって北山と。

親子の名乗りを上げたいに決まっている。

特に岸は―

あいつが、会いたかったと抱きついて来て自分の子だと分かったとき。

俺の胸の中にもグッと来るものがあった。

記憶を取り戻した瞬間どんな気持ちだったんだろう?

そう思ったら。

親の顔も、知らずに育った柊陽。

きっと、寂しい思いを沢山したに違いない。

まして、ひろが命を落としたのは自分を産んだ直後ときてる。

そんな前世での親が、すぐ傍にいたんだ。

堪らなかっただろうな…

分かった俺に任せろ絶対に思い出させてやるから。

ひろの家へ向かう道すがら

安井が神から聞いたという言葉を頭に浮かべ、必死で考える。

“前世の記憶甦り深き愛に満ちたとき”

前世の記憶、深き愛。

深き愛とは、俺の北山への想い。

それが満ちたとき、とうに満ち溢れている。

じゃなんだ?あいつの心の中に俺への愛が甦ればいいのか。

どうやって?

いや満ち溢れるよう注いでやればいいのかもしれない

そうだ、そうに決まってる

前世のときみたいに、愛しまくってさ。

あいつを目覚めさせてやればいいんだ。

そうと分かれば、頑張るっきゃないよな。

ピンポーン、気合いを入れチャイムを鳴らす。

一気には無理だ。

なんせ北山は何も分かっていないんだから徐々に少しずつ。

ガチャ!

―が、ドアが開き目の中に飛び込んで来たのは。



内「お帰り藤ヶ谷、待っていたで ニタッ」



えっ、内?

仁王立ちになり怪しい笑みを浮かべている内の姿で。



藤「あ、んーとなに?」



それを見て、なんだか嫌な予感が走る。



内「もち話しがあるからに決まっとるやろ」

藤「話しって?」

内「分からんか?ふーん、そう ジロッ」

藤「なっ、なんだよ」

内「とにかく中へ入れ」



バタン―





ストーリーメニュー

TOPTOPへ