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10年恋

第3章 第三章



相葉から相談がある、と喫茶店に誘われたのは夏休み前のことだった。


「実はおれ、好きな人がいるんだ



こんなまじめな顔した相葉をみるのは初めてだな、と冷静にそう思った。


「ねえ翔ちゃん聞いてる?」


なにも反応しない俺に
相葉は戸惑いながら聞いてきた。


「うん。で、誰が好きなの?」


相葉はルックスが良いし、うるさいけど性格もよい。女子からの人気も高いし、そんな相葉に好かれる女の子は幸せ者だと思う。


なーんてのんきなことを思いながら、コーヒーを口にした。



「ニノだよ」



え?
二宮?



思わず噴き出したコーヒーは相葉の顔を直撃した。


「わ!ちょっと翔ちゃん!!汚いよ!!!」


おしぼりで顔をぬぐう相葉。
慌てているからなのか
それとも言ったことに照れているのか
相葉の顔は真っ赤だった。


「え?ニノって二宮和也のことだよな?」


一応確認しておく。


「あたりまえじゃん!!」

おいおい
まじかよ

でも冗談で言っているようには思えない。


「それ知ってるの俺だけ?」


「うん、翔ちゃんにならいいかなって、同じ叶わない片想い同士だし」


まあ、そうだな
同じ叶わない片想い同士だしな


って


え??



「ごめん待って、突っ込みどころが満載なんだけど」


理解ができていない俺に対して、相葉はのんきにオレンジジュースを飲んでいる。


「まず、その、片想い同士っていうのは?」


「え、だって翔ちゃん、大ちゃんのこと大好きじゃん!!!」



相葉はキラキラした笑顔で

とんでもないことを

あたりまえのように

言い放った。

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