
泣かぬ鼠が身を焦がす
第35章 秘事は
少しだけ重くなった足を無理やり持ち上げて、拓真さんについて歩いた
拓真さんが向かっていった場所は神社の端っこ
「足元気をつけろよ」
「うん」
そこには石段があって、それを登って行く
石段ってだけあって一段一段ちょっとずつ幅とか高さとか違うし、平らでもないし
結構歩きにくいけど、転んだら階段の最初まで転げ落ちそうだから気をつけて進んだ
長いなー
別に辛くはないけど、先がどこに続いてるのか全く見えん
つーか、花束渡す人って神社の人なのかな?
険しい道だったから話してる余裕もなくて、下を一生懸命見ながら登り続ける
暫くすると見てた足元が急に明るくなって
「わぁ、すごい……」
階段の横、茂み? 森? だったところが開けて海が見えた
「綺麗だろう」
「うん。こんなに高くまで登ってると思わなかった」
少しだけ止まって拓真さんと海を眺めると、海の反対側にはお墓がたくさんあることに気がつく
あー……まぁ神社だもんね
ロマンチックな雰囲気とはいかないわ
でも、やっぱりまだここ神社の敷地内?
ってことは今から会いに行く人はさっきの予想通り神社の人?
この先にもしかしたら寄宿舎みたいのがあるのかもしれないな
