泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
もしかしたら、こちらが本性なのでしょうか
先ほどのは演技……?
そう思ってしまうほど三村様の変わりようは凄まじく、私の頭も混乱してしまいます
しかし混乱はしていても、簡単に身体を許すわけにはいきません
それに、こんな場所でなんて
いい加減堪忍袋の緒が切れました……!
私はシャツを脱がそうとしていた三村様の手に自分の手を添えました
すると三村様は余裕の表情で私を見てきます
「抵抗するの? そんなことしたら先に手縛っちゃうよ」
私は細く息を吐き
「その必要はありません」
そしてそのまま三村様の手首を捻り上げ、ベンチの下へ叩き落しました
「!? いってぇ……!?」
何が起こったのかわからない様子で地面に転がる三村様を尻目に、私はベンチから立ち上がります
あの時は両手が縛られてしまっていたので何もできませんでしたが
いつもそう簡単にはいきませんよ
「え、なん……伊藤、さん……?」
まだ呆然としている三村様に、スーツに付いた汚れを払いながら視線を送ります
「私はこれで失礼いたしますので、手を縛って頂かなくて結構です」
「……っ」
三村様は心底驚いた顔をされています
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