
泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
思い出してしまって急に気恥ずかしくなってしまい俯くと、三村様が不思議そうな顔をされました
「食事はアイスコーヒー飲んでからでいいかな?」
「えぇ、構いません」
先ほど注文されていたのを見てましたし
もともと待つつもりです
「ありがとう」
そう言って、三村様はまた微笑まれました
その笑顔に店内にいた女性たちの目線が集まるのがわかります
何故こんなことに気がつくかと言いますと、普段社長が歩く度に視線を感じているため敏感になってしまったからです
三村様は気がつかれているでしょうか
ここにいらっしゃる女性の大半は、先ほどからずっと三村様の様子を伺っていらっしゃいます
それほど魅力的な方ということですね
あくまで、見た目は
アイスコーヒーが席に届いて三村様が定員の女性に笑いかけると、女性は顔を赤くして去って行かれました
その光景が、なんというか
もやもやします
あんな最低な仕打ちをするような方なのに
皆さん知らないから、あんな熱い視線を向けられるんです
知っていたら、もっと……っ
「なんか、具合悪い?」
「っ、いえ……」
「そう? 無理に誘っちゃったかと思った」
