泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
近くの喫茶店に入り、コーヒーを飲みながら三村様からの連絡を待ちます
その際出来る限りこれからのことも昨日のことも考えないように意識しました
携帯電話が震えたのは数十分後
コーヒーを飲み終えるぐらいの時間です
「はい、伊藤です」
『三村です、お待たせしました。今どちらにいらっしゃいますか?』
喫茶店の名前を告げるとすぐに行くと言われて電話が切れました
なんというか、強引な方なのかもしれません
何も言わなくなった電話を小さなため息と共に鞄に仕舞い、三村様を待ちます
数分後、三村様は小走りでいらっしゃいました
「お待たせしました……っ」
少し、息切れされてますね
本当に急いで来て下さったのでしょうか
「アイスコーヒー」と注文をされた三村様は、私の向かいの席に腰をかけられました
「今日も仕事早く終わったの?」
「えぇ、まぁ」
本当は、帰らされたが正しいのですが
言う必要はありませんね
「そうなんだ。杉田コーポレーションさんはホワイト企業だね」
爽やかに微笑まれた三村様を改めて見ると、昨日私にあんな仕打ちをしたとは到底思えません
あんな……縛ったり、目隠しをしたり……
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