
泣かぬ鼠が身を焦がす
第13章 正直の心より
声が震える
やっぱり、涙が溢れてしまった
「それで、あいつは俺の母さんに『こいつが強請るから、仕方なく抱いてやったんだ』って言って……っ」
「……」
「それで俺は……俺、は……っ!」
俺の話がもう少しで終わりなのに
涙が溢れて
声も震えて
最後まで言えない
もどかしい思いをしていたら、杉田さんがまた俺を抱き締めた
「もういいよ、わかったから」
「……」
そして杉田さんは、優しい手つきで俺の頭を撫でて「ありがとう」って呟く
そこで俺の涙腺は完全に崩壊した
「……っう、ぅぅ……ぇぇえ……っ、ぅ」
「ありがとう、純。俺のところに来てくれて」
そんなの、俺のセリフだ
今まで嫌で嫌で仕方なかった
なのに
杉田さんと会えたなら、こんな人生で良かったって思えてしまうんだから
魔法みたいだ
死ぬほど嬉しい
でも死にたくない
「ばりがど……」
「はは……何て言ったのかわからないぞ」
「ん、ぅぅぅーー……っ」
「思う存分泣け。俺をタオルにしていいから」
重かった荷物を降ろした時みたいな
鼻と口を塞がれてたのをようやく放されたみたいな
とにかく泣き崩れてはいるけど心の中はすっきりしている
