泣かぬ鼠が身を焦がす
第8章 網の目にさえ
こく、と喉を鳴らした杉田さんにもう何も言えない
この変態っぷりには突っ込むのはやめよ
脱力感から動く気になれず、杉田さんが口元を腕で拭う仕草に目を奪われていると、杉田さんが俺に近づいてきてキスをした
「ん……うぇ、何すんの」
自分のザーメンなんて飲みたくない
まずい
生臭い
嫌いな食べ物特にないって言ったけど自分の精子なんて嫌
「不味い」
文句を言うと、杉田さんが俺の唇を舐めて
「少し薄くないか?お前の」
「……は?」
何言ってんの
「薄いって、杉田さんそんなことわかんの?」
「いや、男ならわかるだろ」
え、普通わかるもん?
疑問に思っていると、杉田さんは俺の考えを察したのか「勘違いするなよ」と頭を叩かれた
「粘度の違いでわかるだろ」
「粘り気?」
「お前もっとドロドロしててもいいんじゃないのか」
なに、なんで聞くわけ
禁欲してたわけじゃねーんだし普通じゃね?
「オナニーしてただけだけど。ダメなの?」
「…………」
は?
なにその間
「ダメだ」
「え、なんで」
「俺が飼ってるんだろ。俺の言うことは聞けよ」
「いや……え、なんで。オナ禁する意味がわからん」
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