
泣かぬ鼠が身を焦がす
第8章 網の目にさえ
俺の方に近寄ってきた杉田さんはふ、と笑い声を漏らして
「何をしてるんだ?」
と言いながら俺の手から水差しを奪った
「べ、つに……」
俺が飲んだやつ……
しかも、俺が顔に当ててあっためてたやつ……
「つか、なんで上半身裸なわけ?」
「俺は脱がせてもらうわけじゃないからな」
しれっと答える杉田さんは下着だけを身につけてる状態
腹筋割れてる
普段仕事しかしてないくせに、いつそんな風に鍛える時間があるっての
ほどよく筋肉のついた身体を改めて見てしまって、なんだかまた顔が熱くなったような気がした
俺は……筋肉なんてないな
腹筋割れてない
太ってはないけどさぁ
同じ男として悔しいなんて思いに駆られながら、水を飲む杉田さんを見つめる
うわ、喉が上下に動いてんの……色っぽい
喉を水が伝ってるのとか、清涼飲料水のCMみたい
すると、俺の視線に気がついたらしい杉田さんが俺の方を見た
「なんだ?」
「こ、零すなよ。飲み方……汚い……っ」
自分の喉元を指差しながら教えてやると「あぁ、本当だ」と何気なく腕で拭う
その様も何でか絵になっていて
先にベッド行こう……
俺ここにいたら心臓おかしくなりそ
