
霧島さん
第2章 お久しぶりです、霧島さん
「…意外と乱れるんですね」
「やめてくださいその言い方。乱れてませんから」
「だって、色んなところが反応してますよ」
ふっと耳に吐息を吹きかけられ、ビクリと体が跳ねる。
その刺激で足を捩らせるけど、その奥が濡れているせいでクチュリと厭らしい水音をたてた。
嘘…。
カアッと熱が急激に上がって、クラクラする。
そんな私の様子を見た志月蛍は、後ろからするりと手で足をなぞり、太腿の付け根を掠めさせた。
「続きをしたい所ですけど、今の霧島さんを抱いたら壊れちゃいそうですね」
掠れた声で囁くその言葉でさえ私を反応させる。ゾクゾクとした刺激が腰から脳へと走っていった。
はあっ、と、自分の吐く吐息が熱いことに、お互い気づいてしまっている。
「ーー霧島さん。早く、お風呂出ましょうか」
「……は、い…」
ーー初めて会った時から危険だとわかっていたはずだった。
この男に近づくなと頭の中の警報が鳴り響いていたはずなのに、私が壁を作る前に男はずかずかと入り込んで、あっけなく私を捕らえてしまった。
苦手だ。
人の思考を簡単に奪ってしまう、読めない人間は。
