
霧島さん
第2章 お久しぶりです、霧島さん
「細い体」
男が私の素肌に手を添えた時には、その警鐘はぴたりと止まってしまった。
まるでもう遅いとでもいうように。
「叩かないんですか?」
されるがままの私にクスリと笑った志月蛍の言葉に、体に熱が帯びる。
「叩いて欲しいんですか」
「いいえ。大人しい霧島さんも可愛いなと思って」
「…どうしてそんな恥ずかしいことをペラペラと…」
「言ったでしょう、礼儀だって」
そんな小さな言い合いをしつつ、露わになった肌に温かいシャワーが降り注ぐ。
…気持ちいい。
「今から頭を洗うので、泡が入らないように目を瞑っててください」
「は、はい」
志月蛍の言う通りに目を瞑る。
自分でも思う。今の自分はまるで借りてきた猫のような大人しさだ。
けど、この人の手は気持ちがよくて、ひどく心地がいいのだから仕方がない。
「…そういえば、今日は何日ですか?」
「今日は12月4日です」
ワシャワシャと頭を洗ってもらいながら日付を確認すると、やっぱりあの日から3日経っていたらしい。
3日もベッドに篭っていたのか私…。そりゃお風呂も入れさせられるはずだ。
「日にちといえば霧島さん、今日は何の日だと思いますか?」
「え?」
と、突然の問いかけに思わずパチリと目を開ける。
