テキストサイズ

不透明な男

第3章 自覚の無い男


外はいつの間にか暗くなっていた。


智「松兄ぃ帰んないの?」

兄「帰って欲しいのか?」

智「や、もう遅くなっちゃったから。」

兄「もうちょい居るよ。それより消灯の前にシャワーして寝る準備しとけ。」

智「そうだね。」


じゃ、ちょっと失礼してと言いながら俺は、松兄ぃを残してシャワールームに入る。
手早く事を済ますと髪を滴らせながらシャワールームのドアを開けた。


兄「ちゃんと拭け。風邪引くぞ。」


松兄ぃが俺の頭をバスタオルでわしゃわしゃと拭く。


智「ありがと」

兄「ん」


バスタオルから顔を出すと目の前に松兄ぃの顔があった。
松兄ぃの顔が近づいてくる。


智「…どしたの?」


松兄ぃの表情がさっきまでとは違っていた。
元々男らしい顔付きだが、更に男っぽい、なんと言うか雄の顔をしていた。


兄「黙れ」


キスされる。
そう思った俺は、松兄ぃの胸を押して返す。


智「ちょ、だめだよ、友達なんでしょ?」


松兄ぃの胸についた手を掴まれる。


兄「黙れよ…」


俺は唇を押し付けられた。


智「ん…」


唇をぎゅっと閉じる。
松兄ぃの唇は俺の固く閉じた唇を啄んでくる。
俺の口内に入ろうと松兄ぃの舌が唇をこじ開けようと蠢く。


智「んん…」


なかなか開かない俺の唇に痺れを切らせたのか、松兄ぃの手が俺の脇腹を擽る。
ビクッとした拍子に歯列を割って松兄ぃの舌が入って来た。


智「ん、む…んっ」

兄「抵抗するな…」

智「んぁ…擽るなんて…ずる…っふ」



あぁ、まただ。

なんでこの男のキスは、頭が痺れるんだろう。



俺は、この痺れに呑まれちゃいけないと目をギュッと瞑り抵抗する。


智「ま、松兄ぃ、だめ、だってば…」


俺の唇から離れた松兄ぃは、そのまま耳に口づける。


智「んっ」


身体がビクッとした。
反応したくないのに身体は言うことを聞かない。
松兄ぃの唇は首に、胸元にと降りていく。


智「あ…」


立ったままだった俺は、膝が震えて崩れそうだった。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ