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不透明な男

第3章 自覚の無い男


昨日の兄ぃ、なんかおかしかったな。

何をそんなに心配する事があるんだろう?


まぁ、記憶を無くしたんだから心配するのは当たり前か。と思いながら朝の日課を迎える。


毎朝決まった時間にそれはやって来る。

パタパタと廊下が騒がしくなり、検温だの朝飯だのと看護師が笑顔を振り撒きながら俺の世話をしていく。


智「や、おれ、病気でもないし動けるから…」


看護師は、やんわり断る俺をベッドに押し付ける。


看「大丈夫ですから。遠慮しないで下さいね♪」


看護師は俺の首元をグイッと広げると、温かい湿ったタオルを首にそっとあてがった。

兄ぃが、着ろと置いていった服は全部深く胸元の開いたVネックのシャツだった。
しかも今日着ているのは黒色で薄手の素材のものだった。

その為、いとも簡単に胸元が大きく開く。


智「ちょ、マジで自分で出来ますって…」

看「すぐ終わりますから♪」


今度は俺の腹から服を捲り上げる。
看護師はなんだか楽しそうだ。


智「シャワーも出来ますし…ほんとに、大丈夫なんで…」


ベッドに倒れている俺は、胸元を這う看護師の手首を掴んだ。


智「これ以上は恥ずかしいから… ね?」


看護師の目を見ながら少し恥ずかしそうに微笑んでやると、看護師の顔は真っ赤に染まった。



ふっ チョロいな



看護師を追い出し俺はひと安心する。



あれ?
なんか、今

おれ、腹黒くなかった?





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