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不透明な男

第12章 惑乱


社『この部屋は気にいったかね?』


少し怯えながらキョロキョロと周りを見渡す俺に、社長が話しかける。

その、部屋の異様な雰囲気に圧倒されていた俺は、ビクッと身体を震わせ社長を振り返った。


社『どうしたのかな…?』


肩を竦めて社長を見上げる俺の頬を、社長の手が撫でる。
俺は、その感触にゾクッとした。


社『こんなに震えて…、寒いか?』

智『さ、寒い訳じゃ』


社長は俺の頬を包んだまま、顔を傾け俺の首に顔を埋める。


智『っ、な、なに』

社『あぁ、君は、いい香りがするな…』


やばい
そういう事か

俺に優しくしてくれる理由はそういう事だったのかと、この時になって漸く気がついた。


智『お、おじさん、やめ…っ』


ギュッと目を瞑る俺の首に、社長が吸い付く。
生温い舌を這わせ、俺の寒気を煽る。


智『離して…っ』


足は震えて手も力が入らなかった。
プルプルと震える腕で社長の胸を押してもびくともせずに、それどころか恐怖で腰が抜けそうだった。


智『あっ』

社『おや…、刺激が強かったかね?』


腰を抜かすなんて可愛いなと、膝をついた俺を社長が抱き起こす。

立ち上がった俺を、今度はデカイ男がベッドへと運ぶ。


智『な、なにっ?』


ドサッとベッドに落とされたかと思ったら、社長ではなく、デカイ男の方が俺に覆い被さってきた。


智『や、やだ、やめて…っ』


デカイ男の下で俺はもがく。
でもそんなの全く役に立たないんだ。
ボタンを引きちぎられ、俺は頭を振って抵抗する。

そんな俺の顔を、社長はニヤニヤとしながら眺めていた。


社『ん』


顎でクイッと大男を下げる。
その代わりに俺に覆い被さる社長は、俺のはだけた胸元へ手を滑らす。


智『や…』


抵抗すると、大男が俺の腕を掴んで固定する。
拒めなくなった俺の胸に、社長は舌を這わせた。


社『綺麗だ…。美しいよ…』

智『ん…っ』


ゾクゾクする。
寒気が止まらなかった。

目をギュッと閉じて身体を震わせる。

嫌だやめてと、涙を溜めて怯えた顔をする。

その姿を見て、社長は悦んだ。


社『少し、席を外すよ。コイツらが、君を暖めてくれるからね…』


シャワーをしてくるから暖めておけ、いいか、暖めるだけだぞと、大男達に念を押して社長はシャワールームに入っていった。



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