
不透明な男
第11章 背徳
まずは翔からだとは言っても、俺はきちんと任務に来ている訳で。
そうすると、おのずと俺に本題が降りかかってくる。
A「大野」
智「ん?」
あ、やべ
A「何で振り向いた?」
智「後ろから声が聞こえたら振り向くでしょう…」
カマ掛けやがったな、ちきしょう
智「あんまりジロジロ見ないで下さい。気持ち悪いですよ」
A「ああ…」
見過ぎなんだよ、穴が開くわ
B「うぃっす、…ん?どうかしたか?」
智「おはようございます。何でもありませんよ」
B「お、今日は顔色いいな」
智「ふふ、お鍋のおかげです。ありがとうございました」
B「ま、まあ、いいって事よ」
これだけ元気そうならあんな事やこんな事、色々出来ちゃうなあ、なんてニヤけるBは、ツッコミもしなければ反応すらしないAを不思議そうに覗き込んだ。
B「どうした?」
A「あ、いや、別に…」
なんだよ今度はお前かよとBは溜め息を吐く。
智「そろそろ社長がみえますよ。移動しましょう」
B「おうっ」
智「…調子に乗ると怒りますよ」
俺のケツをむにっと掴むBをギロッと睨んだ。
すると、いてぇと喚くBの後ろで何やらAがほくそえむ。
A「そうだな、シラを切るなら吐かせりゃいいな…」
後ろからのその気持ちの悪い視線に、俺は少し身震いを覚えた。
