
不透明な男
第8章 序章
先に二次会行っといてと、先輩看護士は後輩を追いやる。
「智くん、二次会だし一緒に来ない?」
智「え?いや、行けませんよ」
「智くんが来たら皆喜ぶのに~」
智「いえいえ、無理ですって(笑)」
え~とゴネる先輩看護士。
俺は遠くに翔の気配を感じていた。
「じゃあ…ふたりで呑みにいっちゃおっか♪」
智「病院の人って、急患の為にお酒って呑まないんじゃありませんでしたっけ(笑)?」
「ここに来てる人達は皆明日大丈夫なの~」
あ、そういうもんなんですか?なんて笑いながら話を繋いで翔の視線が俺に留まるのを待つ。
「本当、智くんって可愛いわよね…」
智「ええ?(笑)」
「なのに…この首筋とか…凄く男らしくて…」
看護士は俺の腕に絡み付き、胸を押し当ててくる。
智「ちょ、近いですって(笑)」
「ふふ…可愛い…」
純朴な青年を装う。案の定看護士は甘い瞳で俺を見てくる。
「食べちゃいたいなぁ…♪」
看護士に絡み付かれる俺に、翔の視線が留まった。
智「お姉さん、おれだって男だよ…?」
看護士の耳元で低い声を出して囁くと、隣にあった外壁の裏へ看護士と共に滑り込む。
「あ…っ…」
俺は八重歯を覗かせ看護士の首を甘噛みしてやる。
智「ふふ…お姉さん可愛いね…」
「…っ、さ、智くん…」
目を細めて微笑んでやると、看護士は甘い息を吐く。
翔が来るまで、後少し。
