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お嬢様と二人の執事

第3章 もう一人の執事


沙都子side

出来ることなら逃げ出したかった。

昨晩、神山に抱かれ今宵は高宮に抱かれる。

沙都子の貞操観念からするとそれはありえないことだった。

それでも…沙都子は逃げることが出来なかった。

私はここで生きていくと決めたから…。

お祖父さまの孫として、東堂家の人間として生きると決めたから。

そのために必要なことだと言われてしまったら沙都子に逃げるとという選択肢は存在しなかった。

そんな沙都子を高宮は不思議なものでも見るように見た。

レクチャーと言ったのは…貴方じゃないの…。

沙都子の心の声は高宮には届かない。

高宮の優雅な一礼はこれから行われることとかけ離れてて沙都子は戸惑った。

高宮の唇が手の甲の落ちるのを見ていた。

手の甲へのキスは敬愛の意味があると聞いたことがあるけど…このキスにはどんな意味があるのかしら?

高宮さんが切なげな目で私を見ている。
なんでなの…?

沙都子は不思議な気持ちで見ていた。

「私を好いてくれとは申しません。ただ、求められる歓びを感じてください…」

高宮のその一言に心が反応する。

求められる歓び…。

それはどんなものなんだろう?

神山さんに抱かれたときは…多分私が求めていた…。

縋り付きたくて神山さんを自分から求めた。

今日は?

高宮さんが言った求められる歓びって?

高宮さんは私のことを好きだということ?

高宮さんの気持ちは?
私の気持ちは?
どこにあるんだろう?

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