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お嬢様と二人の執事

第3章 もう一人の執事

「沙都子様は…男性の経験はお有りですか?」

高宮がベストのボタンを外しながら、沙都子を見下ろす。

「ええ…」

なんならつい昨晩も抱かれた。

ますます沙都子の瞳は遠いところを彷徨う。

「それは、忘れたい思い出ですか?」

「えっ…?」

高宮の声が、誠実なものに変わった。

「お答えください。私は神山より、なにも聞いておりませんので」

「そう、ですか…」

「沙都子様…あまりいい思い出はお有りではないようですね?」

「なぜ…?」

「見ていればわかりますよ…」

ふっと微笑むと、沙都子の手を取った。

「では私のレクチャーは、過去の苦い思い出を消すことから始めましょう」

ちゅっと音を立てて、手の甲に口吻する。

「沙都子様…私は本心から、貴女を抱きたい…」

「え…?」

高宮の潤んだような目が、沙都子をじっと見つめる。

「私を好いてくれとは申しません。ただ、求められる歓びを感じてください…」

そっと手を引き寄せると、ボタンを外したシャツの間に沙都子の手を入れた。

自分の胸に手を触れさせると、切なげに沙都子を見つめた。

「わかりますか…?」

「はい…凄くドキドキしています…」

「沙都子様に触れてもいいですか…?」

沙都子は高宮の顔を見上げた。

その瞳の奥を探るような目で見つめている。

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