
お嬢様と二人の執事
第3章 もう一人の執事
沙都子はじっと、ベッドの上で膝を抱えて蹲っている。
深夜0時。
寝室のドアをノックする者がある。
沙都子が顔を上げると、高宮がするりとドアから入ってくる。
表情には、薄い微笑の仮面をつけていた。
高宮の内心は、驚きで一杯だった。
沙都子が逃げ出して居ないことに驚いたのだ。
「…お待たせ致しましたか…?」
「いいえ…」
半ば自棄に答える沙都子の顎を、高宮は掴んだ。
「情事の前に、そのようなお顔をなさってはいけませんね」
「…はい」
「失礼致しました」
高宮は顎から手を外すと、沙都子に向かって優雅に一礼した。
「それでは、沙都子様。今宵はどうぞよろしくお願い致します」
「よろしく…高宮…」
遠い目をした沙都子は気づいていないが、高宮を完全に使用人として扱っている。
この方は…。
高宮は感嘆する思いだった。
もしかして生まれながらのお嬢様なのかもしれない。
今は亡い、彼女の母がそうさせたのか。
沙都子の本質的な部分で、人を使うということを無意識に習得しているのかもしれない。
そう悟った瞬間、急に高宮の心臓が高鳴った。
このような方に、自分が触れていいのだろうか。
いや…触れてやるんだ…
そう…俺は、この方も東堂も両方手に入れるんだ。
高宮は目に力を入れると、スーツを脱ぎ去って床に落とした。
深夜0時。
寝室のドアをノックする者がある。
沙都子が顔を上げると、高宮がするりとドアから入ってくる。
表情には、薄い微笑の仮面をつけていた。
高宮の内心は、驚きで一杯だった。
沙都子が逃げ出して居ないことに驚いたのだ。
「…お待たせ致しましたか…?」
「いいえ…」
半ば自棄に答える沙都子の顎を、高宮は掴んだ。
「情事の前に、そのようなお顔をなさってはいけませんね」
「…はい」
「失礼致しました」
高宮は顎から手を外すと、沙都子に向かって優雅に一礼した。
「それでは、沙都子様。今宵はどうぞよろしくお願い致します」
「よろしく…高宮…」
遠い目をした沙都子は気づいていないが、高宮を完全に使用人として扱っている。
この方は…。
高宮は感嘆する思いだった。
もしかして生まれながらのお嬢様なのかもしれない。
今は亡い、彼女の母がそうさせたのか。
沙都子の本質的な部分で、人を使うということを無意識に習得しているのかもしれない。
そう悟った瞬間、急に高宮の心臓が高鳴った。
このような方に、自分が触れていいのだろうか。
いや…触れてやるんだ…
そう…俺は、この方も東堂も両方手に入れるんだ。
高宮は目に力を入れると、スーツを脱ぎ去って床に落とした。
