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お嬢様と二人の執事

第3章 もう一人の執事

高宮がにっこり笑うと、沙都子も微笑み返す。

コップを受け取り、水を飲み干す。

「ありがとうございます…」

水が身体に染み渡っていくようだった。

「医者が来るまで、眠ってはいかがでしょう…」

「でも、お祖父様にご挨拶を…」

「神山に伝えますから、大丈夫です」

ドキッとした。

神山さん…。なんで…私を抱いたの…?

沙都子は唇を噛みしめると、布団を被った。

高宮はそれを冷たい目で見つめている。

「…いかがされましたか?」

「いいえ…なんでもないの…。少し寝ますから。一人にしてください」

「かしこまりました…それと、お嬢様…」

そっと沙都子は布団から、目だけ出した。

「体調がよろしければ、今晩より私のレクチャーを開始いたしますので」

「え…?」

「昨夜、神山とされたレクチャーです。私にも指導せよと神山より通達がありましたので」

「嘘…」

「嘘ではございません。沙都子様。逃げてはいけませんよ…?」

先程までの子供のような表情は一変し、獲物を追い詰める雄の表情になった。

そっと顔を近づけると、沙都子の唇に自分のそれを重ねた。

高宮の薄い唇から、舌が出てきて沙都子の唇をぴちゃりと舐めていく。

柔らかく、官能的な感触に高宮は鳥肌がたつ思いだった。

「逃げてはいけません…」

そう囁いて、ベッドサイドから立ちあがった。

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