
ツインテールの君
第1章 聖夜の宴のデザートは?
「次はババ抜きです。皆さん、お隣の人に隠してカードをきって下さい。ルールはご存知の通り、最後までジョーカーを持っていた人が負けです。早く上がれるよう頑張って下さいねー」
「勝った人は何かあるんですか?」
アリスが挙手したのを見るや、國佳はせりはに目配せした。
せりはが床の間まで膝で移動し、クリスマスツリーを示す。
もみの木の麓を彩る色とりどりのプレゼントボックスは、一つ一つに一から六までの数字が記してあった。
「勝った人は、この、数字が"1"と付いたプレゼントボックスをお持ち帰りいただけます。中身は開けてのお楽しみ、なかなかのレア物が入っています」
「さすが『Failieta Milk』の店員さん。気前良ーいっ」
「ただし」
せりはに代わって、再び國佳が説明を続ける。
「"2"以下の箱には、罰ゲームの指示が入っています。順位が下になればなるほど、内容は厳しくなります。景品を獲得していただけるのは、一番乗りの人だけです」
このアイデアが浮かんだ甲斐あって、無闇に参加賞を準備するより、真剣勝負が期待出来るようになった。
「すみれちゃん……罰ゲームって、どんなのかな」
「踊ったりとかいやですぅっ……」
すみれの華奢な上半身が、仔ウサギよろしくふるふる震えた。
「イオリ、こうなったら頑張ろう」
「國佳。私は貴女の罰ゲームする姿を楽しみたいから、頑張らなくて良いわよ」
アリスに続いたせりはの言葉は、果たして友人に対するものか。
