
ツインテールの君
第1章 聖夜の宴のデザートは?
「わぁっ、ケーキ可愛い!イオリ見て見てっ。クリスマスツリーピンクだーっ。ジンジャーマンのオーナメント、食べられそう!」
「食べちゃダメだよ。私のケーキさん。アリスってばかわい」
「ぁう、イオリくすぐったぁい。イオリだって美味しいよ。ちゅっ」
イオリの腕に抱かれながら、アリスが彼女の首筋を舐めた。
(この人達、クリスマスパーティーに来なくても、イヴを満喫出来たんじゃ……)
もっとも國佳にしてみれば、今夜の宴の主催者として、アリス達は歓待すべき客人だ。
「アリスさん、イオリさん。どうぞお席の方へ。もう少ししたらお茶をお出ししますから、お待ち下さい」
「有り難うございます、お構いなく」
「わぁっ、可愛いクッション!」
アリス達が卓袱台の前に落ち着くと、四人目のメンバーが部屋に見えた。今度はノックの音なしだった。
「國佳ただいまー。やはり温泉は良いわぁ、気(き)が高まる。今夜は魔術がはかどりそ──って、早っ」
「あっ、せりはさん」
「お邪魔してます」
「こんばんは、花咲さん達。本日はお越し下さって嬉しいです。どうぞごゆっくりしていって下さいね」
さらさらの長い金髪に白い肌、持ち前の風貌とは相反する漆黒の浴衣をまとった國佳の友人が、客人達に特上の笑顔を振る舞った。
せりはの浴衣は自前だ。あちこちにレースがあしらってあり、変わった結い方のしてある帯は、さしあたり堕天使の羽根だ。
主催の二人が揃ってまもなく、最後の客が訪った。
