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ツインテールの君

第1章 聖夜の宴のデザートは?




「らぴんさーん!せり子さーん!」

「はーい、今行きます」


 鈴を鳴らすような声に弾かれて、扉を開くと、國佳のよく知る女性がいた。

 女性のまとう淡いクリーム色のシフォンのワンピースはパニエがふわりとしたシルエットを描き、優雅に巻かれた色素の薄い金髪が、その肢体にすっと寄り添う。


 デコレーションケーキのような女性の側に、もう一人、女性がいた。

 こちらの女性はいわゆるゴシックパンクスタイルだ。柔らかな顔立ちに、光の当たり具合で淡い赤にも栗色にも見える短い髪は、連れの女性とは百八十度違った情緒を立てる。


「お待ちしていました、アリスさん。イオリさん」

「あたしもお待ちしておりましたわ、らぴんさん」

「こんばんは。今夜はお招き有り難うございます。らぴんさん達主催のクリスマスパーティー、アリスも私も本当に楽しみにしてました」

「いえいえっ。あ……そうだ。今夜は仕事じゃありませんから、國佳で大丈夫ですよ?」

「じゃあ國佳さん。良いなぁ、本名も可愛くて」

「アリスさんには敵いません。さ、どうぞ」



 國佳は、かの有名なイギリス文学のヒロインと同じ名を持つ女性と、彼女のパートナーを部屋に上げた。


 ちなみに「らぴん」というのは國佳の接客中のニックネームで、「せり子」というのがせりはのそれだ。



 花咲アリス(はなさきありす)と、花咲イオリ。

 彼女達は、同じ屋根の下に住んでいる。

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