
どっちもぼっち。
第1章 みかん色に染まりたい柚と染まるきのないライム
『やっぱりとは何だァ? ボッチビッチのくせに頭が高いぞ、わっはっは』
――と言ってみたかったけれど、下げた頭を上げられない腰の低い前科者にはそんな権利なさそうだったからやめておいた。それでもボクがやりました。
「君は学級委員のひとなの」
やや上目遣い&無表情をそのままに頬杖を付きながら質問してくるそいつに、「いいえ」と丁重に答えてしまう卑屈な前科者。
恐らくこいつのボッチイベントの各々に加わっていた俺を、おせっかいないいんちょさんと勘違いしての質問だろう。いやそれでも自分のクラスの学級委員くらい把握しておけよ。
「じゃなんか愛の告白テイストで話掛けてきたけど、わたしのこと好きなの」
これにはきっぱりと力強く「い・い・え」と答え否定した。誰がおまえみたいな御可哀想な御独りぼっちさんを。
クラスメートに声を掛けるのが久しぶりだったから、ちょっとばっかし緊張しちゃっただけだっつの。
「なら、やっぱり、ひとにセクハラするのが好きなのかあ」
