
素晴らしき世界
第39章 愛と浮気のチョコレートケーキ
乗り込んだタクシーの中は無言で、重い空気が漂う。
「お釣りはいりません」
ドアが開くと同時にお金を渡し、繋いだままの和也の手を引いて足早にタクシーを降りた。
無言のまま階段を上がり、鍵を開けると部屋へと入った。
久しぶりに家に2人が揃った。
『ちゃんと……説明して下さい』
いつもより低い和也の声。
振り返るとリビングに入らず、立ち止まったままの和也が俺を見つめる。
「和也こそ、ちゃんと説明して?何で、アイツ……櫻井と一緒にいたの?」
俺も低い声で質問を質問で返す。
『それは……』
次の言葉が出てこない。
やっぱり、俺には言えない事なの?
「ねぇ、何て返事したの?」
昼間に聞けなかった和也の答え。
「アイツに『ずっといて欲しいな』って
言われてたでしょ?和也はアイツを選ぶの?」
『……えっ?』
誤魔化さないでちゃんと答えてよ。
「相葉くんも櫻井の所に戻るんじゃないかって言ってた。松にぃもこれがきっかけで戻るかもって……」
こんな事、俺に言わせないでよ。
「櫻井も和也を諦めきれないんだって……ねぇ、和也は櫻井の所に戻るの?」
和也は俺を見つめたまま、何も言わない。
なんで……
なんですぐ、否定してくれないんだよ。
「嫌だよ!俺……絶対に和也を離さない!」
俺は和也をギュッと抱きしめた。
すると、和也の身体が小刻みに震えた。
もしかして……泣いてる?
抱きしめていた身体を離し、下を向いたままの和也の顔を覗き込むだ。
『ふふっ…』
……えっ?
漏れ聞こえたのは啜り泣く声じゃなくて、押し殺すように笑う和也の声だった。
「なっ、何……笑ってんだよ!」
理解できない和也のリアクションに思わず後ずさってしまう。
『ごめんなさい。だって……くふっ』
手で口で押えても漏れている笑い声。
『何でこんな時に笑ってんだよ』って、怒って当然の状況なのに……
なぜか、そんな気にはなれなかった。
だって和也はいつもの様に、幸せそうな笑顔をしていた。
そしてそれは誰かに向けた笑顔じゃなくて、俺に向けた笑顔。
『ちゃんと説明しますから、行きましょ?』
さっきまで俺が引っ張っていた手を今度は和也が掴んで引っ張り、リビングへと連れて行かれた。
「お釣りはいりません」
ドアが開くと同時にお金を渡し、繋いだままの和也の手を引いて足早にタクシーを降りた。
無言のまま階段を上がり、鍵を開けると部屋へと入った。
久しぶりに家に2人が揃った。
『ちゃんと……説明して下さい』
いつもより低い和也の声。
振り返るとリビングに入らず、立ち止まったままの和也が俺を見つめる。
「和也こそ、ちゃんと説明して?何で、アイツ……櫻井と一緒にいたの?」
俺も低い声で質問を質問で返す。
『それは……』
次の言葉が出てこない。
やっぱり、俺には言えない事なの?
「ねぇ、何て返事したの?」
昼間に聞けなかった和也の答え。
「アイツに『ずっといて欲しいな』って
言われてたでしょ?和也はアイツを選ぶの?」
『……えっ?』
誤魔化さないでちゃんと答えてよ。
「相葉くんも櫻井の所に戻るんじゃないかって言ってた。松にぃもこれがきっかけで戻るかもって……」
こんな事、俺に言わせないでよ。
「櫻井も和也を諦めきれないんだって……ねぇ、和也は櫻井の所に戻るの?」
和也は俺を見つめたまま、何も言わない。
なんで……
なんですぐ、否定してくれないんだよ。
「嫌だよ!俺……絶対に和也を離さない!」
俺は和也をギュッと抱きしめた。
すると、和也の身体が小刻みに震えた。
もしかして……泣いてる?
抱きしめていた身体を離し、下を向いたままの和也の顔を覗き込むだ。
『ふふっ…』
……えっ?
漏れ聞こえたのは啜り泣く声じゃなくて、押し殺すように笑う和也の声だった。
「なっ、何……笑ってんだよ!」
理解できない和也のリアクションに思わず後ずさってしまう。
『ごめんなさい。だって……くふっ』
手で口で押えても漏れている笑い声。
『何でこんな時に笑ってんだよ』って、怒って当然の状況なのに……
なぜか、そんな気にはなれなかった。
だって和也はいつもの様に、幸せそうな笑顔をしていた。
そしてそれは誰かに向けた笑顔じゃなくて、俺に向けた笑顔。
『ちゃんと説明しますから、行きましょ?』
さっきまで俺が引っ張っていた手を今度は和也が掴んで引っ張り、リビングへと連れて行かれた。
