
素晴らしき世界
第39章 愛と浮気のチョコレートケーキ
美味しく飲めるはずのお酒は、ただの現実逃避するためのモノになった。
『飲み過ぎるなよ』と心配していた国分課長も酒が入って、加藤と共に熱い話をしていた。
でも、2人の声がやけに遠くに感じる。
その間も脳裏で何度も鮮明にリピートされる和也とアイツの仲睦まじい様子。
きっと今も2人で過ごしているに違いない。
そう思うたびに酒の入ったグラスを煽り、何度も空にしていった。
そうしていくうちに時間だけは過ぎていって、お開きになった。
足元がふらつく俺を心配してタクシーで帰るように国文課長からお金も渡されたが、それを突っぱねて電車で帰った。
家に早く帰ったって、いいことなんてない。
また思い出して、気分が悪くなるだけ。
快速ではなく、各駅停車の電車に乗って帰る。
電車の揺れが俺を心地よい世界へ導いてくれてた。
でもそれはほんの一瞬。
下車する駅の名前がアナウンスされた瞬間、容赦なく現実へと引き戻す。
そしてどんなに酔っていても、いつもの習慣が俺をある場所へと向かわせる。
目の前にあるのは『松岡食堂』
和也が今、いるはずない場所。
でも、もしかしたら……
俺の見間違えだった可能性もあるかもしれな。
なら……和也はここにいるんじゃないか?
『どうしたんですか?』
なんて言って、来る予定のない俺を見てビックリしつつ喜んでくれるんじゃないか?
けど、俺が和也を見間違いなんてあり得ない。
あり得ないってわかっているのに……
ほんの……ほんの少しの可能性を信じて静かに店に入った。
店にはお客さんはいない。
まぁ、こんな時間だもんな。
『あー、もう疲れたよ』
調理場から相葉くんの気怠い声が聞こえた。
『和はこれくらいで文句は言わないぞ』
松にぃの言葉で和也がここにいないことは確定した。
ここにいたって……意味がないか。
「ニノ、翔さんの所に行っちゃうんですかね?」
気になる言葉が耳に届き、帰ろうとした足を止める。
えっ?
どういう事?
「さぁな?元々は櫻井の所にいるはずだったんだ。今回の事がきっかけにもなるかもな。それに櫻井も和を見て諦めきれないみたい」
俺の知らない、和也の過去。
でも、わかったことがある。
和也とアイツ……
櫻井は付き合っていたんだ。
『飲み過ぎるなよ』と心配していた国分課長も酒が入って、加藤と共に熱い話をしていた。
でも、2人の声がやけに遠くに感じる。
その間も脳裏で何度も鮮明にリピートされる和也とアイツの仲睦まじい様子。
きっと今も2人で過ごしているに違いない。
そう思うたびに酒の入ったグラスを煽り、何度も空にしていった。
そうしていくうちに時間だけは過ぎていって、お開きになった。
足元がふらつく俺を心配してタクシーで帰るように国文課長からお金も渡されたが、それを突っぱねて電車で帰った。
家に早く帰ったって、いいことなんてない。
また思い出して、気分が悪くなるだけ。
快速ではなく、各駅停車の電車に乗って帰る。
電車の揺れが俺を心地よい世界へ導いてくれてた。
でもそれはほんの一瞬。
下車する駅の名前がアナウンスされた瞬間、容赦なく現実へと引き戻す。
そしてどんなに酔っていても、いつもの習慣が俺をある場所へと向かわせる。
目の前にあるのは『松岡食堂』
和也が今、いるはずない場所。
でも、もしかしたら……
俺の見間違えだった可能性もあるかもしれな。
なら……和也はここにいるんじゃないか?
『どうしたんですか?』
なんて言って、来る予定のない俺を見てビックリしつつ喜んでくれるんじゃないか?
けど、俺が和也を見間違いなんてあり得ない。
あり得ないってわかっているのに……
ほんの……ほんの少しの可能性を信じて静かに店に入った。
店にはお客さんはいない。
まぁ、こんな時間だもんな。
『あー、もう疲れたよ』
調理場から相葉くんの気怠い声が聞こえた。
『和はこれくらいで文句は言わないぞ』
松にぃの言葉で和也がここにいないことは確定した。
ここにいたって……意味がないか。
「ニノ、翔さんの所に行っちゃうんですかね?」
気になる言葉が耳に届き、帰ろうとした足を止める。
えっ?
どういう事?
「さぁな?元々は櫻井の所にいるはずだったんだ。今回の事がきっかけにもなるかもな。それに櫻井も和を見て諦めきれないみたい」
俺の知らない、和也の過去。
でも、わかったことがある。
和也とアイツ……
櫻井は付き合っていたんだ。
