
素晴らしき世界
第39章 愛と浮気のチョコレートケーキ
『早く行きましょうよ、先輩』
立ち止まっていた俺を、前を歩く加藤が満面の笑みで手招きする。
『おっ……おう』
返事をしたけど、俺はその場から動けなかった。
和也は俺の存在など微塵も感じず、嬉しそうに出てきたドアを見つめる。
すると笑顔で和也に近づく男が出てきた。
コイツ……
目に入った瞬間から、いけ好かない。
いかにもモテますって感じのオーラを放ってやがる。
爽やか風を吹かしやがって。
どんなにカッコよく決めたってお前、なで肩なんだよ!!!
でも、俺に比べて……
いや、比べたりしたら瞬殺だ。
あれは世間の女性が絶賛する完全なる『イケメン』だ。
それがわかっているから、必死に嫌味を言ったり弱点を探すのに躍起になっている。
『遅いですよ、早く行きますよ?』
そして何よりそいつに向ける和也の笑顔。
俺が大好きな……
俺だけが知っている……
俺に向けていたはずの笑顔がそこにある。
俺の目に写る和也の笑顔は横顔。
そいつの目に写るの和也の正面の笑顔。
『そんな焦らなくっても、時間は十分あるだろ?』
『ありません。忙しいんですから』
『でも、今日はずっといるんでしょ?いつもより、早くできるじゃん』
ずっと……いる?
何が……できる?
『時間はあってないようなものです。今日は寝かせませんからね?朝まで付き合ってもらいますから』
そいつと……朝まで過ごす?
寝かせないって……なんだよ?
『わかったよ。ホント、和には敵わないな』
クシャッと和也の髪を撫でた。
俺の……
和也に……触れんな!
『やっぱり……ずっといて欲しいな』
……ほんの一瞬、時が止まった。
それって……どういう意味だ?
『 先輩、何突っ立ってるんですか?早く、入りましょう』
加藤が店の入り口から俺を呼ぶ。
そのせいで、笑顔で返事をしていた和也の言葉が聞けなかった。
和也は……なんて答えたの?
そんな事を聞けるはずもなく、俺はお店に向かって歩き出した。
入店前、俺は和也の姿をもう一度見つめた。
小さくなる和也とアイツの後ろ姿。
俺たちはどんどん離れていく。
2人の会話が頭で繰り返される。
ねぇ、和也……
心も同じように離れてしまったのか?
立ち止まっていた俺を、前を歩く加藤が満面の笑みで手招きする。
『おっ……おう』
返事をしたけど、俺はその場から動けなかった。
和也は俺の存在など微塵も感じず、嬉しそうに出てきたドアを見つめる。
すると笑顔で和也に近づく男が出てきた。
コイツ……
目に入った瞬間から、いけ好かない。
いかにもモテますって感じのオーラを放ってやがる。
爽やか風を吹かしやがって。
どんなにカッコよく決めたってお前、なで肩なんだよ!!!
でも、俺に比べて……
いや、比べたりしたら瞬殺だ。
あれは世間の女性が絶賛する完全なる『イケメン』だ。
それがわかっているから、必死に嫌味を言ったり弱点を探すのに躍起になっている。
『遅いですよ、早く行きますよ?』
そして何よりそいつに向ける和也の笑顔。
俺が大好きな……
俺だけが知っている……
俺に向けていたはずの笑顔がそこにある。
俺の目に写る和也の笑顔は横顔。
そいつの目に写るの和也の正面の笑顔。
『そんな焦らなくっても、時間は十分あるだろ?』
『ありません。忙しいんですから』
『でも、今日はずっといるんでしょ?いつもより、早くできるじゃん』
ずっと……いる?
何が……できる?
『時間はあってないようなものです。今日は寝かせませんからね?朝まで付き合ってもらいますから』
そいつと……朝まで過ごす?
寝かせないって……なんだよ?
『わかったよ。ホント、和には敵わないな』
クシャッと和也の髪を撫でた。
俺の……
和也に……触れんな!
『やっぱり……ずっといて欲しいな』
……ほんの一瞬、時が止まった。
それって……どういう意味だ?
『 先輩、何突っ立ってるんですか?早く、入りましょう』
加藤が店の入り口から俺を呼ぶ。
そのせいで、笑顔で返事をしていた和也の言葉が聞けなかった。
和也は……なんて答えたの?
そんな事を聞けるはずもなく、俺はお店に向かって歩き出した。
入店前、俺は和也の姿をもう一度見つめた。
小さくなる和也とアイツの後ろ姿。
俺たちはどんどん離れていく。
2人の会話が頭で繰り返される。
ねぇ、和也……
心も同じように離れてしまったのか?
