
素晴らしき世界
第39章 愛と浮気のチョコレートケーキ
【智side】
「準備、出来たか?」
書類を鞄に入れながら加藤に声をかける。
『はい、大丈夫です』
「課長、外回り行ってきます」
『おう、頑張って来いよ』
「『はい』」
課長はヒラヒラと手を振って、俺達を送り出してくれた。
『大野先輩、知ってます?』
「ん?」
『訪問先の近くにあるケーキ屋、めっちゃ美味くて有名らしいですよ』
これが巷で噂のスイーツ男子ってヤツか?
頬を緩ませ嬉しそうに話す加藤。
随分、余裕だな。
「他の事に気がいくってことは、今日のプレゼン内容は頭に入ってるよな?」
『えっ、ちょっ……』
「今日の説明は任せたぞ」
慌てて資料を読もうとする加藤を置いて、俺はそそくさと歩き出した。
「なかなか上出来だったじゃん」
何とか契約をこぎつけ、意気揚々と訪問先を後にした。
『マジっすか!ありがとうございます』
「声がでけーよ」
嬉しそうに頭を下げる加藤の頭を軽く叩いた。
冗談でプレゼンしてみろって言ったけど、任せてみたら意外としっかり出来ていた。
フォローすることもほぼ無かった。
国分課長に報告したら喜ぶだろうし、きっと俺も美味しい酒が飲めるだろうな。
『あっ、先輩っ!こっちの道、行っていいですか?』
物思いに更けていた俺を置いて、足早に来た道と違う方向へと向かう。
『確か、この道筋にあったんだけど……』
キョロキョロと辺りを見回す加藤。
「何、探してんだ?」
『会社出た時に言ってたケーキ屋ですよ』
いけしゃあしゃあと答える加藤。
おいおい、まだ仕事の途中だぞ?
「まさか……ケーキ買うのか?」
『買うわけないじゃないですか。プリンを買っておやつに会社で食べます』
常識的な答えの後の、ぶっ飛んだ答えに返す言葉がない。
『あっ、見えた!あそこです!』
加藤が指差した先に目線をやる。
「えっ……」
俺は思わず足を止めた。
加藤が指差す建物の裏から、見覚えのある姿が出てきた。
今日も仕事のはずなのに……
どうして?
どうして和也がここにいるんだ?
「準備、出来たか?」
書類を鞄に入れながら加藤に声をかける。
『はい、大丈夫です』
「課長、外回り行ってきます」
『おう、頑張って来いよ』
「『はい』」
課長はヒラヒラと手を振って、俺達を送り出してくれた。
『大野先輩、知ってます?』
「ん?」
『訪問先の近くにあるケーキ屋、めっちゃ美味くて有名らしいですよ』
これが巷で噂のスイーツ男子ってヤツか?
頬を緩ませ嬉しそうに話す加藤。
随分、余裕だな。
「他の事に気がいくってことは、今日のプレゼン内容は頭に入ってるよな?」
『えっ、ちょっ……』
「今日の説明は任せたぞ」
慌てて資料を読もうとする加藤を置いて、俺はそそくさと歩き出した。
「なかなか上出来だったじゃん」
何とか契約をこぎつけ、意気揚々と訪問先を後にした。
『マジっすか!ありがとうございます』
「声がでけーよ」
嬉しそうに頭を下げる加藤の頭を軽く叩いた。
冗談でプレゼンしてみろって言ったけど、任せてみたら意外としっかり出来ていた。
フォローすることもほぼ無かった。
国分課長に報告したら喜ぶだろうし、きっと俺も美味しい酒が飲めるだろうな。
『あっ、先輩っ!こっちの道、行っていいですか?』
物思いに更けていた俺を置いて、足早に来た道と違う方向へと向かう。
『確か、この道筋にあったんだけど……』
キョロキョロと辺りを見回す加藤。
「何、探してんだ?」
『会社出た時に言ってたケーキ屋ですよ』
いけしゃあしゃあと答える加藤。
おいおい、まだ仕事の途中だぞ?
「まさか……ケーキ買うのか?」
『買うわけないじゃないですか。プリンを買っておやつに会社で食べます』
常識的な答えの後の、ぶっ飛んだ答えに返す言葉がない。
『あっ、見えた!あそこです!』
加藤が指差した先に目線をやる。
「えっ……」
俺は思わず足を止めた。
加藤が指差す建物の裏から、見覚えのある姿が出てきた。
今日も仕事のはずなのに……
どうして?
どうして和也がここにいるんだ?
