
素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
【4年後】
俺の前を行き交う人々。
「ちょっと、遅い~」
「ごめんごめん、行こ?」
隣で待っていた学生らしき女の子は
彼氏に腕を絡ませてると人の波に消えていく。
初々しい感じは付き合ったばっかりかな?
「映画、楽しかったね」
「そうだな、次はどこいく?」
仕事の休みにデートを楽しむ男女のカップル。
同棲とか……してるのかな?
「ママぁ、これ買って!」
「だーめ!」
「うわーん、パパぁー」
「わかったわかった。買ってあげる」
「やったぁ!」
「もう、甘やかさないで」
子どもを間に挟んで手を繋いでいる家族。
奥さんのお腹が大きいのは2人目なのかなぁ?
目に留まる人々は俺が憧れていた状況で、
いつも自分とあの人を重ねてしまう。
もう戻る事ができないのに……
バカだよね。
自分から手放しておいて後悔するなんて。
その上、忘れられないって。
でも少しだけそんな俺が誇らしかったりもする。
だってずーっと今も一筋に想い続けて、
そして全てを捧げて来たんだもん。
俺の初めての友達。
俺の初めての親友。
俺の初恋の人。
俺の初めての恋人。
俺のファーストキスの相手。
俺の初体験の人。
そして俺の初めての旦那さん……はおかしいか。
俺の過去も今もあの人でいっぱいなんだ。
だから未来は見えない。
だって未来にはあの人がいないから……
「ごめん、待たせて」
謝っている割にはふにゃっとした笑顔で
俺に近づいてくる待ち合わせの相手。
「毎度の事だから気にしてませんよ。
だだし……」
「ケーキは奢らせてていただきます」
いつものやり取りに2人で笑い合った。
「でも先に、買い物に行ってもいい?」
「大丈夫ですよ。でも、珍しいですね?
大野さんが買い物なんて」
大野さんとはよくデザート巡りで出かける。
俺の買い物に付き合ってくれる事はあるけど、
大野さんの買い物って見た事が無い。
でもこの買い物が……
俺の未来に繋がるなんて思ってもみなかった。
俺の前を行き交う人々。
「ちょっと、遅い~」
「ごめんごめん、行こ?」
隣で待っていた学生らしき女の子は
彼氏に腕を絡ませてると人の波に消えていく。
初々しい感じは付き合ったばっかりかな?
「映画、楽しかったね」
「そうだな、次はどこいく?」
仕事の休みにデートを楽しむ男女のカップル。
同棲とか……してるのかな?
「ママぁ、これ買って!」
「だーめ!」
「うわーん、パパぁー」
「わかったわかった。買ってあげる」
「やったぁ!」
「もう、甘やかさないで」
子どもを間に挟んで手を繋いでいる家族。
奥さんのお腹が大きいのは2人目なのかなぁ?
目に留まる人々は俺が憧れていた状況で、
いつも自分とあの人を重ねてしまう。
もう戻る事ができないのに……
バカだよね。
自分から手放しておいて後悔するなんて。
その上、忘れられないって。
でも少しだけそんな俺が誇らしかったりもする。
だってずーっと今も一筋に想い続けて、
そして全てを捧げて来たんだもん。
俺の初めての友達。
俺の初めての親友。
俺の初恋の人。
俺の初めての恋人。
俺のファーストキスの相手。
俺の初体験の人。
そして俺の初めての旦那さん……はおかしいか。
俺の過去も今もあの人でいっぱいなんだ。
だから未来は見えない。
だって未来にはあの人がいないから……
「ごめん、待たせて」
謝っている割にはふにゃっとした笑顔で
俺に近づいてくる待ち合わせの相手。
「毎度の事だから気にしてませんよ。
だだし……」
「ケーキは奢らせてていただきます」
いつものやり取りに2人で笑い合った。
「でも先に、買い物に行ってもいい?」
「大丈夫ですよ。でも、珍しいですね?
大野さんが買い物なんて」
大野さんとはよくデザート巡りで出かける。
俺の買い物に付き合ってくれる事はあるけど、
大野さんの買い物って見た事が無い。
でもこの買い物が……
俺の未来に繋がるなんて思ってもみなかった。
