
素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
俺には雅紀の涙の理由がわからない。
雅紀から離婚届を突きつけられても、
その理由さえ考えずその場を乗り切る事だけ考えた。
でも和也くんと出会って
初めて雅紀の事を考えるようになった。
そして自分の中にある
雅紀の存在の大きさに気づいた。
でもそれは雅紀にとっては今更だろ?
今までずっと雅紀の気持ちを利用して、
ちゃんと向き合ってこなかったくせに。
『好きだ』なんて勝手過ぎるだろ?
『雅紀しかいない』なんて都合よすぎるだろ?
だったら……
俺を責めてくれよ。
俺を罵倒してくれよ。
俺を拒否してくれよ。
俺は今まで雅紀に散々甘えて来た。
また……甘えたくなるだろ?
「雅紀」
また零れ落ちそうになる涙を親指で拭うけど、
雅紀は嫌がる仕草を見せることは無い。
雅紀……
俺はまだ……触れてもいいのか?
俺はゆっくりと顔を近づけていく。
逃げないでくれ……
逃げてくれて……
両極端な気持ちが何度も交差する。
でもその答えは……雅紀が教えてくれた。
合わさった視線は
雅紀が瞼を閉じる事で遮断された。
どうしてっていう疑問より、
触れられる喜びの気持ちが勝った。
俺も瞼を閉じて、雅紀の唇に触れた。
今まで何回もしてきたキスだけど、
まるで初めてみたいに緊張して震えた。
雅紀の唇は……柔らかく甘い気がした。
そんな風に思った事も感じた事も無かった。
そしてこんな風にドキドキした事も無かった。
「雅紀……抱きたい」
身勝手でワガママだけど……
もっと雅紀の事を感じたい。
そしてちゃんと雅紀の事を愛したい。
「……いいよ」
いいんだ…な?
もう俺、止まれないよ?
「でもこれが……最後だから」
キスが出来た事。
抱けるという事。
その先に微かに見えた希望の光は、
雅紀の言葉に影を落としてパッと消えた。
雅紀から離婚届を突きつけられても、
その理由さえ考えずその場を乗り切る事だけ考えた。
でも和也くんと出会って
初めて雅紀の事を考えるようになった。
そして自分の中にある
雅紀の存在の大きさに気づいた。
でもそれは雅紀にとっては今更だろ?
今までずっと雅紀の気持ちを利用して、
ちゃんと向き合ってこなかったくせに。
『好きだ』なんて勝手過ぎるだろ?
『雅紀しかいない』なんて都合よすぎるだろ?
だったら……
俺を責めてくれよ。
俺を罵倒してくれよ。
俺を拒否してくれよ。
俺は今まで雅紀に散々甘えて来た。
また……甘えたくなるだろ?
「雅紀」
また零れ落ちそうになる涙を親指で拭うけど、
雅紀は嫌がる仕草を見せることは無い。
雅紀……
俺はまだ……触れてもいいのか?
俺はゆっくりと顔を近づけていく。
逃げないでくれ……
逃げてくれて……
両極端な気持ちが何度も交差する。
でもその答えは……雅紀が教えてくれた。
合わさった視線は
雅紀が瞼を閉じる事で遮断された。
どうしてっていう疑問より、
触れられる喜びの気持ちが勝った。
俺も瞼を閉じて、雅紀の唇に触れた。
今まで何回もしてきたキスだけど、
まるで初めてみたいに緊張して震えた。
雅紀の唇は……柔らかく甘い気がした。
そんな風に思った事も感じた事も無かった。
そしてこんな風にドキドキした事も無かった。
「雅紀……抱きたい」
身勝手でワガママだけど……
もっと雅紀の事を感じたい。
そしてちゃんと雅紀の事を愛したい。
「……いいよ」
いいんだ…な?
もう俺、止まれないよ?
「でもこれが……最後だから」
キスが出来た事。
抱けるという事。
その先に微かに見えた希望の光は、
雅紀の言葉に影を落としてパッと消えた。
