テキストサイズ

腹黒ドS王子の愛する人Another

第1章 慧×桃史の場合

「いや、知らないよ。」




そうこたえると、葵くんはゆっくりと口を開いた。





「......俺たち、両親亡くしてるんです。交通事故で。」





衝撃の言葉に耳を疑う。


両親を亡くした?事故で?



そんなこと一言も......





「両親が亡くなってから、俺のことは兄ちゃんが面倒見てくれたんです。大学進学も決まってたのをわざわざ断って今の会社に就職して。」





「そう、だったんだ.....」




そんなこと全然知らなかった。




葵くんは話を止めることなく続けた。


「だけど、俺ずっと兄ちゃんに迷惑かけっぱなしで。だから兄ちゃんも俺には弱気なとこ見せないようにって悩みも言ったことないんです。そんな中で高田さんの話をする時だけは違った。」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ