
例えばこんな日常
第18章 超短篇詰め合わせギフト
《天然(ノンリアル)》
◆『高架下ランドリィ』の二人◆
「ありがとうございましたー!」
言いながら勢い良くお辞儀をしつつも、その言葉を言い終える前にドアはパタンと閉められた。
ふぅと息を吐いて、急いでメットを被る。
クリスマスイブ。
それはピザ屋の掻き入れ時。
着せられた赤いサンタの衣装で、街中を原付で走り回る。
…間に合うかな。
今日は、大切な日だから。
恋人の、誕生日なんだ。
店に戻ると、松本店長からすぐ次の配達先を告げられて。
「ごめん大野!すぐ行ける?みんな手が離せなくて」
「あ、はい」
雑に渡されたメモを見つつメットを被り直して歩き出すと、そこに書かれてある文字に思わず店長を振り返る。
店長はチラッとこちらを見遣り、ウインクをひとつ飛ばした。
ピンポーン…
「ピザお届けにあがりましたー」
目的の家のインターホンを鳴らせば、暫くの間のあと小さく開いたドア。
「あの、頼んでませんけど…」
おずおずと覗かせたその顔は、俺を見るなり驚きに変わった。
「えっ…大ちゃんっ!?
え、なんで?バイトは?」
「うん、バイトだよ、今」
びっくりして口を開けたままの相葉ちゃんに、店長からのメモを目の前に掲げる。
『ここに配達したら今日はもうあがってよし』
「ここ…最後の配達先だから」
「えっ…」
「ふふっ…間に合って良かった」
微笑むと、目の前の恋人も泣きそうな顔で笑みを溢した。
「相葉ちゃん…誕生日、おめでとう」
「…ありがと。
くふっ、またサンタがプレゼントだ」
ツン、と指で俺の肩を押して綺麗に笑うその顔に。
今の自分の格好を見返して、今度は俺がつられて笑った。
***
こちらは『高架下ランドリィ』の二人、その次の誕生日のお話といったところですね^o^
ということは出会って3回目のお誕生日ということか…
ちゃんと続いている模様♡
あと何気に松本店長グッジョブ!
どうやら大ちゃんと相葉くんのことは知ってたみたい。
激忙しいのに粋なことするね、店長ったら!( *´艸`)♡
