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櫻井視点

　ふわふわの温かい毛のリス猿の頭を撫ぜる。

（ここは、霊的な空間…

　雅紀も和也も自然な感情をぶつけている…）


≪桔梗も来るか？≫
桔梗を呼ぶ。


｛…ううん…いい…｝
　声だけで姿を現さない桔梗。


（桔梗は、俺に仕えだしてちょっと捻くれたらしい…

　俺が臆病だから…優柔不断だから…

　イライラさせてるんだろうな…）

Ａ「わぁ！」
　潤のモモが雅紀を咥えた。

（なに…しているんだよ…）


Ｏ「え…なんデ」
　智くんの声が聞こえた。

「ねぇ？なにしたんだ…ろぉ…？」
雅紀の格好についてのコメントだと思って、智くんの方を向く。

　目を見開く驚いている智くんが立っていた。


（え？）
智くんが見ている方を見ると、


桃『智殿…』
　桃木さんが困った顔と恥ずかしい顔を混ぜた顔で智くんを見ている。



Ｏ「さ、サトシ…ソうダケど…モウ…yonndeくれナいノ？」
　智くんの唇が震えている。


桃『私には、もうそのような資格はありません』
　智くんに深々と頭を下げる桃木さん。


Ｏ「そンナコトシナイで…」


？『桃木！アレは我がした事…主の所為ではない！！』
　ニノに似た少年が桃木さんに駆け寄る。


（だ！だれだよ…）


Ｏ「momonoki…」
　零れるように呟く智くん。


（発音が変だ…こうなった時は、ちゃんと呼ばないと…）


「智くん…」
ジャケットの裾を引っ張って智くんの気を引く。


Ｏ「ん？ナニ？」
　焦点が定まっていない智くんがゆっくり俺を見る。



（ねぇ…俺を見て…）


「なぜ…あの人知ってるの…」
智くんの目をしっかり見ながら話しかける。


Ｏ「……」
　智くんが口をゆっくり動かしている。



（言葉がうまく出てこないの？）


「ゆっくりでいいよ。教えて…」



？『いつまで…見つめ会うつもりか！』
　ニノに似た少年が畳んだ扇子で、パンパンと俺と智くんの頭を叩く。



「イッ！」
声を揃えて頭を押さえる。

Ｏ「イッターイ！」
　智くんも同じように頭を押さえている。

（痛みで、意識がコッチに向いたかな？）