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虹色の精霊に導かれて…

第10章 羽と尾と鼻と目と耳

二宮視点

扉を一人でくぐり中庭に出た。

(まだ、誰も来ていない?)

周りを見回していると、いきなり、人が眠った状態で現れる。


「わ!!」
いきなりすぎて、肩をビクつかせ、声まで上げた。


慌てて、口を押えて、周りを確認。


(よし。誰もいない…


 さすがに、素がでる…


 現れた人は、いつも智さんが座っている場所…

 必然的にそこに寝ている人は智さんである…)


「びっくり…した…なんで、この人は、驚くような登場をする…」
一つため息を付くと、近づこうと歩き出す。


(こっちに来てまで、寝るって…どんだけ寝不足なんだよ…)



『カズナリ♪』
 いつもの理解者の声と違って、少年の声が聞こえてきた。


「り、理解者…人型になってる…」
目の前に水干(すいかん)をきた少年の姿の理解者が浮いていた。


『今日は、その花のお陰で、この姿で行動ができるのじゃ!』
 人型理解者が、俺の頭の上の花をちょんちょんと笑って、笑う。


(言葉使いも、いつもの理解者とは違う)



「え?でも、それじゃ、その姿を維持するには…」

『心配いらぬ!!今宵の宴は、この地の花主催じゃ、我が姿ゆるぎない!!』
 水干の袖から扇子を出して、俺の顔に向ける。


『それに、我も話したい者がある…』

「大野さんの“御仁”ですか?」


『そうじゃ。邪魔する出ないぞ!!』

「わかりました。翔さんと少し席を離れますよ」


『今宵は、ショウでなくマサキといるといい!』
 ニヤリと笑う人型理解者。

「なぜ?そこにマー君が出てくるんですか?」


『ふふ、面白い男だ』

 扇子を広げて再び笑う。

(人型の理解者の瞳に見つめられると、なぜか素直になる…)


「本当にいいんですか?まー君所に…行っても…」

『いいよ♪だってほら、行った行った♪』

「り、理解者がそういうなら、仕方ないですね」

(ほら…誘導させる…)

『そうじゃ!我が言葉に従え!』
 扇子パンと音を立て閉じる人型理解者。

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